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コラム:1/3の純情な偏愛 〜レザーフェチの少し前〜

木枯らしが吹いている。もうすっかり冬だ。

今夜も重たいキャリーケースをゴロゴロと引き摺って個人調教に出掛ける。

分厚い外套に身を包み、手には革の手袋、足元はロングブーツ。タクシーに揺られながら、外を眺める。

今日はどんな夜になるだろう。


お客様の待つホテルから少し離れたところで車を降りた。寒さを打ち負かすかのように、あえて早足で歩く。


カツカツカツカツ…


足音が響く。

数分も歩けば身体が温まってくる。

唯一そこだけ肌が露出している顔面に北風があたり、頬は冷え、思考が冴える。


「     」


ホテルまでの数歩の中で、この後の第一声を決める。…今夜のセリフも決まった。

さぁ。意気揚々とホテルへ乗り込む。

指定されたルームの扉を叩き、温かい室内へ飛び込む。

楽しい時間の始まりだ。


 

冬が好きだ。冬にするSMが好きだ。

奴隷たちを、重厚な拘束の世界へ誘うのが好きな私には、ぴったりの季節だ。

(夏は、なんだか何もかもが開放的で、正直あまりそそられない。)


今年はブーツを3足新調した。

中でもお気に入りは、本革のロングブーツ

つま先も、ヒールも、猟奇的に尖っている。


革。レザー。

寒くなるとよく見かける、この魅力的な素材。


私の短くはないSM人生の中で、なぜかこれまでレザーについて探究する機会は少なかった。所蔵するレザーアイテムは、実は数えるほどしかないし、そのほとんどが鞭とコルセットだった。


それなのに、今年の冬はなぜこんなにレザーに惹かれるのだろう。


春先にドイツのグッズ屋で見た、良質なレザークラフトのせいかもしれない。


●全身をすっぽりと覆う(まさに頭のてっぺんから足の先まで)、本革のスリープバッグ。

●美しい曲線で描かれる全頭マスク。

●バラエティー豊かな鞭の数々……


そのどれもが艶やかな本革製品だ。(PUレザー・フェイクレザーの製品こそあまり見かけなかった。)それなのに値段も安かったりする。

日本との市場規模や文化の違いを肌で感じたものだ。



…あの時の本革のスリープバッグ、買えばよかった。帰ってきてからこんなにも焦がれることになるとは。


あんな重厚なスリープバッグに入れられて、更にその上からベルトかなんかで拘束さたら、絶望的なくらい真っ暗で、逃げ場がないだろうな。


ラバーの全身拘束具はオイルを用いてウェットな密着感を楽しんだりするけど(冬だと少し寒いかもね)、それとはまた全然違って、より圧倒的な拘束感を与えられるだろうな……………。


なんて、妄想ばかりが捗る。はぁ。(溜息)

(次ドイツに行く時は絶対手に入れるぞ。)


そういえば先日はPUレザーのヒトイヌ拘束具も手に入れたけど、やっぱり最近はレザー、レザー、レザー。レザーが気になるようだ。

街ゆく人の手元・足元を、良きレザーを求めて、つい観察してしまう。


本当にいい季節だ。


これを読んでいるあなたも、一緒にレザーの虜になりましょう。手袋越しに首を絞めて、鋭いヒールでたくさん、痛ぶってあげるわ。

妄想が止まらないわね。



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